寝ているのはわかっていたけれど、震える手でドアをノックした。もちろん返事は返ってこない。 そしてドアを開ける。 そこで見たのはさっきよりも顔色が数段よくなった母だった。 「すごい……」 本当に治してしまった。 すごいよ、樹。ほんとにすごいよ。 私はこの時、樹を犠牲にしていたのことなんて全く気が付いていなかった。