彼女の声はもう開き直っているものだった。
「諦めるんですか?」
依然として窓の外をながめている彼女に、自然と問い掛けていた。
「……佳奈は、一人の方がいいのかもしれないの」
笑って言う言葉なんかじゃないはずなのに。
「安藤に似て意地っ張りですね」
呆れたように俺が言うと彼女は少し嬉しそうに笑った。
そこで感じた。
――安藤とのつながりを喜んでいる
ということに。
「いや、安藤があなたに似たのか」
「そうね」
ちらりと時計を見ればすでに5分たっていた。長く話してしまったな。
「いきなりですけど、俺ならあなたの病気、治せますよ」
ガラリと変わった話に、彼女の首がかしげられた。
「俺は薬師だ」


