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あたしたちが母さんの病室に付いた頃には、岡崎先生の姿は消えていたが、その方が都合は良かった。


今から医学を無視したファンタジーなことが起こるんだから。


「とりあえず、俺だけ入るから。終わったらちゃんと知らせるから」


「うん」




あたしは病室に入っていく樹を見届けた後、その場から立ち去った。



あとは樹にまかせるしかない。


あたしに何もできることはないのは知っている。


振り返って、母さんのそばにいたい気持ちはある。


でも、今その気持ちはいらない。