薬師 ―君の傷―






「はいどうぞ」


気が付いたらあたしは薬師の後を付いていっていた。


あの鳥居から歩いてすぐのところにある家。


そこが薬師の店なのか、はいった瞬間、激しい薬独特の匂いがした。


そして彼はあたしにミルクティを出してくれた。


「まぁ座りなよ」


あたしにソファーを勧めた後、彼はあたしより先にソファーにドカっと座った。


「君、名前は?」


「……安藤佳奈」


「あんどうかな、ね。了解」


何が了解なのかよくわからないが、彼は笑顔でうんうんと納得している。






「おい、俺の手伝いしねぇか?」





なんの前触れもない誘い。


「は?」


「お前の傷を治してやるから俺の手伝いしろ」


偉そうにいう彼に、あたしはただ呆然としていた。


「いつもはちゃんと報酬貰うんだけど、お前の傷は簡単には治らないからな。だから、ここで働いて払え」


なんと身勝手な男なんだ。


あたしの意見なんて聞く気はさらさらないらしい。


「はい決定」


「え、ちょ」


「反論は受け付けません」



まただ。


あのニヤリとした意地の悪そうな笑顔。