何でって、秘密にしてたの?」
小春が言う。

「してないけど…でも何で勝手に言うの?
それ知ったら元崎来なくていいって言うの決まってるじゃん!」

小春は一つため息をつき、確かめるように聞いた。

「…ゆきさぁ何で行きたかったの?路上ライブ」

「何でって…それは…元崎の力になりたいし…」

「それはお詫びのつもり?」

「そうだよ。昔傷つけたお詫びができるなら行こうって思ったの!」

「でも元崎はもう気にしてないんでしょ?だったらゆきも何もしなくていいじゃない。」

「でも、私は…」

「そうやって、ゆきがいつまでも過去のこと気にしてたら、前に進めないよ。
ゆきも元崎君も。
自分がどうして元崎君の力になりたいのかちゃんと考えなよ。」

痛い所を突かれた。

ゆきはそう思った。

ずっとゆきはそこの部分に触れないようにしてきた。


傷つけたお詫び


そう思うことで元崎に近づける理由ができた。
でもそれが無くなってしまったら、自分はなぜ元崎に会いたいのか。
そんなこと分かりきっていることだ。

しかし、それを認めると元崎に会えない。

会ってはいけない。



だって私にはそんな資格ない。