「何だよ。重要だろ?」

「はは。そうだね。」

「だからさ、川島が来てくれて助かってんだ。」

「そんな大げさな。」

「まじだよ。世間の目は冷たいからな。
1人でも聞いてくれてる人がいるとやっぱ嬉しいもんだよ。」

電車のアナウンスがゆきの降りる駅名を告げた。

「暗いけど大丈夫か?」

「平気だよ。駅からすぐだから。」

扉が開きゆきは電車を降りた。

「また明日な」

「うん。明日ね」

扉が閉まり、電車が出発しその姿が見えなくなるまで、
ゆきはホームで見送った。

嬉しそうな元崎の顔。

こんなことで喜んでくれるならいくらでも通える。

ゆきはそう思った。

過去の罪が消えるわけではないが、
少しでも元崎の力になれるならゆきは通い続けようと決めた。