その帰りいつも通り元崎のライブを見に行った。

駅に着くと歌声が聞こえた。

ゆきは近くのベンチに座り元崎を見ていた。

お世辞でも上手いとは言えないが、

ゆきはこの歌を聞いていると元気が出てきた。

しかしそれはゆきだけが感じることなのか、道行く人は見向きもしない。

それどころかどこかバカにしたような目で見ている。

一段落着いたのだろう。

元崎が歌を辞め近付いてきた。

「バイトお疲れ。」

「うん。そっちもお疲れ様」

ギター担当の圭は、こちらに来ずに暇つぶしにギターをかき鳴らしていた。