「凛子、あたしたちが口をはさむことじゃないのよ。香奈恵ちゃんと真知子さんの問題なの。あなたの気持ちも わかるけど、あたしたちは、見守るしかないのよ」


真知子さんとは、香奈恵のお母さんのことだ。

「…………」


香奈恵は、今日は、7時に上がれるって言ってた。


8時前には、帰ってくるはずだ。


「香奈恵は、お母さんが帰ってること知ってるの?」


「知らせてないわ。真知子さんが知らせないでくれって……」


「でも それじゃあ、香奈恵が可哀想だよ。いきなりで、ショック受けちゃうよ」


「そうね、ここに帰って来たら、言いましょう。真知子さんと会うかどうかは、香奈恵ちゃんの意思に任せましょう」


まだ、香奈恵が帰って来るまでに4時間以上もある。

母さんとあたしは、夕飯の支度をしながら、香奈恵を待つことにした。