加賀料理の店は、すぐ隣のビルの8階にあった。

エレベーターのドアが開くと、そこだけ違う世界が広がっていた。

落ち着いた、たたずまいに、琴の音色。

あたしたち3人は、場違いな所に来てしまったような気まずさを感じた。


「いらっしゃいませ。4名様でございますね」


加賀友禅の着物を見事に着こなした女将さんらしき人が、カウンターの名簿に何やらチェックしているようだ。

ヒロさんが事前に予約を入れてくれてたみたいだ。