「凛ちゃ~ん、このお嬢さん!まぁ~可愛いわね~」


凛子が答える前に、カウンターの方から、野太い声がした。


「はじめまして。ヒロよ。よろしくね~」


カウンターの中に、立っていたのは、多分、三等身のうちのひとつに当たるであろう、比較的、大きな顔の持ち主だった。

短くカットした髪だが、前髪だけ、小さいカーラーで巻いたように、上に向けてツンと立っている。


顔の口元付近には、ひげ剃りあとが、青々と残り、でも、どうやら顔全体には、化粧を施しているようで、真紅の口紅が妙に、なまめかしい。