「蘭子さんね、父さんに『どんなことがあっても、こどもが生きててくれるだけで、それだけで十分じゃないですか』って言ってくれたのよ。

昔、自分も悩み苦しんで、リストカットしたことがあるんだって、手首の傷、見せてくれたの」


凛子のお父さんは、お父さんなりに、性同一性障害で悩む息子を理解しようと努力してたんだ。

蘭子さんのお陰で、凛子への理解を深めたお父さんは、次のカウンセリングには、同席すると言ってくれたそうだ。

「今の時代、男だろうが、女だろうが、強く生きてけばいいんだよ。性別にこだわる、あんたの考え方は、今時、古臭いわぁ」


この、つねばあちゃんのひとことも凛子のお父さんの気持ちを和らげたのだろう。

さすが、つねばあちゃん!大正生まれのモダンガール。

考え方が新しい。