2時になり、凛子が着替えて出てきた。

「お待たせ~」


「お疲れ~」


凛子と銀ブラなんて、何年ぶりだろう。

確か、中3になったばかりの時、マリオンに映画を見に行った以来じゃないかしら。

懐かしい…といっても、たった1年前のことなんだけど。

でも、この1年、いろんなことあったな。

凛子にとっても生涯で忘れられない1年だったろう。


「凛子、歌舞伎座の前に新しくお寿司屋さんができてたよ」


「ほんと~香奈恵、行ってみようよ」


「夕飯、そこで食べちゃう?回転寿司だから、そんなに高くないよ」


「い~ね~」


少し早い夕飯だけど、私たちは、その寿司屋まで、歩いて行くことにした。

マリオンから歌舞伎座までは、一本道だけど、かなり距離がある。

それこそ、ブラブラしながら歩いて行けば、夕飯には、ちょうど良い時間になる。

少し歩いて、時計台の下のスクランブル交差点に差しかかった時だった。