だむだむだむ。
バッシュのスキール音がコートに響く。


そうです、翔太くんの大会の応援に来たのです。


* * * * * * * * * * *


遡ること昨日の昼休み。

私と翔太くんが正式に付き合って、2週間経とうとしていた。


「そーいや実結、彼氏の応援行かんでいいん?もう大会始まってるんやろ?」

今思えば、すべては何気ない由奈のこの一言から始まったのだ。


「うん、ソウダネ」

「何その棒読み。腹立つわぁ」



スポーツマンの彼を持てば、その応援に行くことは避けられないだろう。

できれば、…行きたくない。


「応援行ったったら高橋くん、泣いて喜ぶんちゃう?で、良いとこ見せようとして空回ってそう」

…その様子が簡単に想像できちゃうから怖いよ。


「何を渋ってるん?」

「うーん…」

確かに、ね。行きたい気持ちはある。
絶対かっこいいもん、翔太くん。

でも、でもね。

「大会だよ?黄色声援がばんばん飛び交ってるんだよ?その中に私が行って翔太くんの彼女だとばれたら…!!」

ブーイングの嵐だよ。