『………すみません、理事長。』



私は、理事長に謝った。



言うことはできない……、と。



私は走って屋上へ行った。



理事長が、追ってくることはなかった。



私が屋上のドアを開けた時には既に目は涙でいっぱいになっていた。



でも……、もし私が月光じゃなかったら今頃兄貴は



兄貴じゃなくなってたかもしれない。



それだけは嫌だ。



両親は死んで、弟は姿を消して、



私にはもう、兄貴しかいなくなっていたんだ。



私は改めて、どれだけ兄貴が大切かを知った。



ブラコンとか……そういうのじゃない。



ただ、家族が大切。



それだけなんだ。