コンクリートの階段を早足でのぼり扉を開く。 幸いにも唯一の同僚は事務所の中にはいないようだ。 一目散に過去の裁判記録と事件ファイルを手にとり車へと戻る。 偶然と呼ぶには違和感があり奇跡と呼ぶには大袈裟だが、とにかく順調に事は進んでいる。 それを確信した僕の心にほんの少しだけ希望の光が灯った気がした。 …が、どうやらそれも束の間の喜びだったらしい。