一面の暗闇を照らしているのは、無人駅に立つ数本の寂しげな街灯だけだった。
その唯一の光さえも自らの寿命を知らせるかのようにチカチカと点滅している。

民家もないこの辺りでは見渡す限りに木が生い茂り、きっと昼間に来てもどこか暗い印象を持つのだろう。

月の光も星の輝きも遮られた空間に、この2時間の間何度か身震いをした。

そろそろ10時を回ったところだろうか。
時間を確認する術を持たない僕には答えはわからない。

しかし向こうの方から眩い光を放ちながら近づいてきている電車が、10時18分発の最終電車であることは間違いないだろう。