他に早急な問題があるとすればこの子を送ってきた黒い車の持ち主が何者かということだ。 穿かせるのに手間取ったスカートから手を離し、ジャケットのポケットからはみ出ている携帯電話をハンカチで包みながら取りだす。 その拍子に何かが床へ向かって落ちた。 腰を丸め拾い上げるとそれはただの保険証だった。 だが一瞬の間を置いて僕は驚愕することになる。 もちろんむき出しのままポケットにそれが入っていたなんて些細な理由ではない。 そこに「下川真希」という名前が記載されていたからである。