私は、研究所を出てお父さんを探すことにした。


 義龍は、私の大事な幼馴染だ。

 小さい頃から、何かと構ってもらっている。


「そういえば、男子にいじめられた時も、
 義龍がかばってくれたっけ…」

 昔の事を思い出すと、すこしほっこりする。

 大事だからこそ、こんなことで迷惑をかける訳にはいかない……。


「も~、お父さんどこに行ったのよ~…」

 自然と足が早くなる。

 義龍は、絶対にこういう頼みはNOと言えない性格なのだ。

 私は、義龍が最近はさらに仕事が忙しくなってきたと言っていたことを思い出した。


「早く、早く……!!」

どんっ

「わぁ!!……っとと、すみません!」

しまった!焦りすぎて前を見ていなかった…!