未来へ

無言のまま時が過ぎた。

どれくらいそうしていただろう。

私はただ、浩人が口を開くのを待っていた。

そしてようやく浩人がポツポツと語り出した。

「なんか、悪かったな。実はさ、あいつとオレのおやじが再婚したのはオレが中学の時だったんだけど、オレはあいつを母親だなんて認められなくて、かなり荒れてたんだ。」

浩人はフーと大きく息を吐き、タバコに火をつけた。

「それで、今以上に女遊びもしたし、無免でバイク乗り回したり、悪いクスリに手を出したこともあった。クスリは合わなかったからほとんどやってないけど、女は次から次に手を出しては捨てるような生活だった。そしたら、つきあってた中の一人が妊娠しちゃってさ、結構いいとこのお嬢様らしくて親を巻き込んでかなりもめたんだ。結局、子供はおろしてその子には二度と会わないって約束して別れたんだけど、慰謝料払ったりするのにかなり親に迷惑かけた。あの女も結婚した時はふつうの主婦だったけど、金払うために水商売するようになって。」