いつも出会いは突然。
何をきっかけに友達になるかなんてありきたりな言葉でしかない。
「髪の毛、長いよね」
あたし達は体育館で、新入生歓迎会的な事をしている。
あたしは今、友達を作ろうと、出席番号が1つ前で、席が前の亜稀の髪に手を掛けた。
いきなり触ったからか亜稀はビックリした顔であたしを見る。
亜稀は小さくて一言で言えばお人形さんみたいだ。
髪は腰の下まで綺麗にウエーブの掛かった黒髪ロング。
みつあみをしていて、前髪が耳にかかるほどに長かった。
「おーい」
あたしが亜稀の前で手を振ると、「あ!優羽ちゃんだよね!よろしく」
と、我に返ったような裏返った声でありきたりな挨拶をされた。
「よろしくね」
ありきたりな言葉で返す。
とりあえず友達第一号っと言ったところだ。
なかなか人見知りなあたしにあまり収穫は無く、この日の友達作りはコレで終わった。
* * *
「ダルくない?」
あたしはまた亜稀と話していた。
自己紹介中の教室はやはり、始めてな雰囲気が溢れていて、息苦しくて嫌いだ。
「そう?」
亜稀はニコニコしながらあたしに言う。
女子から始まった自己紹介は終盤に差し掛かっていて、もう終わると頬杖をついた時だった。
あたしの左斜め前の男子が前に出た。
とても長身長で色黒、長めの髪は茶色で右に左にぴょんぴょんしている。
スラッとした姿からは黒のオーラが出ていて、クールと言うか地味だった。
「杉元 良です。よろしく。」
低音な声は小さく、短い言葉は、空気をより重くさせた。
これがあたしと良君の出会い。
この時の良君の印象は、黒。
地味だなとか、小学校の時同じクラスだった下田と言う男子に似てるなー、とか。
気合わなさそうとかだった。
そして、自己紹介は小さな芽に、少しの水を与えて終わった。



