あの日、君のいた教室で。①



舌なんか出したりして、“見に行っていい?”と眼で訴える。
小学生の時いじめられていたあたしは“断る”と言う作業を知らなかった。
「いいよ」
美沙子は「ありがとう」と言って人の群れに戻っていった。

* * *


新しい教室の匂い。
木材のほろ苦い匂いが鼻をつく。
入学式が終わり、あたしは今学活中。
クラスには見たことのない顔が沢山座っており、同じ小学校だった子もあまり絡みのなかった子ばかり。
隣の席は小学校の頃から友達の奴で、先生は化粧が濃いめのお母さんみたいな人だった。
今でも印象に残っているのは、横田沙絢の存在。
髪に大きなコンコルドを付けて、短いスカートにハデなスクールバック。
クールビューティーな眼差しからは、人を呼びつけない。
ショートな髪をお洒落に工夫していて、チャラチャラしてるせいか、あまり良い印象はなく、関わりたくないなと思った。
しっかりと机の敷き詰められた教室は、今だあたしの頭に焼き付いている。
一年生の春。新しい出会いが芽を出した。