あの日、君のいた教室で。①

とりあえずあたしは、息苦しい人の群れから出るとそこには親が立っていた。
「何組?」
割かし親とは仲の良い方だと我ながら思っていたりする。
あたしはスカートの腰回りをくるくる折り親の前にブイサインを出す。
「3組33番!優羽でっす!!」
さっき折ったスカートが少し苦しい。
うちの学校は桜の木がない。
変わりに春の始まりの生暖かい風があたしのスカートの中を涼しくさせた。
それと同時に沢山の人の声もが書き消されてビュウと吹いた風は、緊張した耳にかかり、胸まである長く2つに結ばれた髪は、ふわっと、浮き上がる。
「優〜羽!!」
幼馴染みの美沙子(みさこ)があたしの背中に飛び付いてくる。
「美沙じゃん!!」
いつの間にか親は何処かに行ってしまった。
「優羽の声向こうの校門まで聞こえたよ!3組〜?」
あ〜、失敗した。
恥ずかしい。
「まじで、恥ずっ!美沙は?」
「うち〜?5組。体育館集まるらしいから一緒に行こ」
美沙子の無邪気な笑顔は人を幸せにすると思う。
あたしの手を引く美沙子は体育館への道を知らないくせに下駄箱へ入ると、綺麗に靴を整えて、にっこりと微笑んだまま下駄箱の前に立ち止まる。
「どしたの?」
あたしも一度入れたローファーをもう一度握った。
「出席番号見るの忘れちゃった」
てへ。
と笑う美沙子は本当に天然で、幼稚園の頃からそれは変わらない。