〜愛優斗SIDE〜

『…なぁ。』

『なぁに?』

ニコニコしながら歩く那智。

『…悪かったな。さっき強引に連れ出したりして。』

一応謝った。

美香ってヤツと仲良さそうだったし…。

『あ、うぅん!気にしないで?!私…、真二くんよくわかんなくて…』

『??』

『あ、だから、連れ出してくれてうれしかったっていうか…。私何いってんだろ!忘れて?』


困った笑顔でこっちを見る那智。

可愛いと思ってしまう俺はおかしいのか…?

『…愛優斗くん?』

『行くぞ。屋上使えるのか?』

『あ、うん!うちの学園は使えるんだ!』


屋上が使えるんだ…。


『…屋上行っていいか?』

『いいけど…。屋上に行きたがる人なんて滅多にいないよ?』


そう言いながら、クスクス笑う那智。

小さい子を見ているようで心が安らいだ。


『…俺さ、この学園狙ったのには理由があるんだ。』

『理由?』

『あぁ。俺には兄貴がいてな。いつも出来る兄貴とダメな俺。比べられてたんだ。で、家から離れたくてこの学園を狙った。』


那智は少し考えた後、少し怒った顔をした。

『その人達ひどいね…。愛優斗くんは、愛優斗くんなりに頑張ってるのに。そんなの気にしないで?私は愛優斗くんが好きだよ。』


今…コイツ…。

超大胆なこと…。

『…あ、あのそういう意味じゃなくて…!』


慌てる那智が可愛くて、笑ってしまった。

『な、』
『いや、ごめん。』


そこからは他愛もない話をした…。