「ただい・・・」
ダダダダダダ・・・
「おかえりー!!桜!」
猛烈なハグをひょいっと交わすと、姉、楓と兄、恋斗は壁に激突した。
「痛てて・・・。桜、冷たい。」
「そうだぞ!もっとスキンシップを大切にだな・・・」
はいはい、と適当に返事し、自分の部屋へと急ぐ。
バタン・・・
「はあ・・・疲れた・・・」
ベットに倒れ、目を閉じる。少しずつウトウトしていた時だった。
「桜~!お姉ちゃんだよ~!」
コンコン、と優しくノックされた。
「は~い。」
すると、ドアの向こうから良いにおいがした。
「ほいっ☆恋にいが作ってくれたんだ!一緒に食べよ?」
「食べる~!」
部屋の中央にある、丸いテーブルに、ホカホカのパンケーキと大人の味のココアが置かれた。
「うん。おいしい!」
やっぱり恋にいのパンケーキはおいしいなあ。
「恋にいが聞いたら喜ぶよ!」
うちの姉達は、とにかくすシスコンで、私に甘い。
「でもさ~ホントびっくりだな。アイドルになんか興味なかった桜が、まさかそのアイドルになるなんて・・・」
パンケーキを頬張りながら意外そうに言った。
「うん。なんかね、私、なんの取り柄もないから。やってみたくなって・・・」
ココアを飲み、一息吐く。
「で、今日は何かあったんでしょ??」
「!?」
「だって、今日は感じが違うもん。何?なんかあったの?」
さすがは、姉。恐るべし・・・
「あ・・・のね」
五分後。
「ええっ!?瑠唯とキスしたの!?」
「そんな大声で言ったら・・・」
ダダダダ・・・ガチャ!
「そんなの・・・兄ちゃん許さん!!」
ほら。
「違うの。だから人工呼吸だってば!!」
慌てて誤解を解く。
「でも、キスでしょ?」
「・・・」
「桜はさ、昔から大人しくて、可愛くて、素直で、可愛くて・・・」
「おい。二回言ったぞ」
「だからさ、お姉ちゃんとしては、もう16歳だし、恋をしても良い頃だと思うの・・・」
恋・・・
「だから、少しずつ、興味もと?ね!」
「うん・・・」
笑い合う私たちを横に、ギリギリギリ・・・
「怖~。でも、恋にいが許してくれないね!」
「~もう!!早く自分の部屋に戻って!!」
恋・・・か。