「おっす!今日も大成功だったな~っ瑠唯!」
「ああ、そうだな」
滴る汗をキンキンに冷えたタオルで拭き取る。
「あっ!俺も冷やしタオル~」
薫はクーラーボックスからタオルを取りだした。
「は~・・・もうデビューしてから一年か~・・・」
「そうか・・・」
もうそんなにたったのか・・・
 一年前・・・
「なあ!いいだろ?瑠唯。おまえしかいないんだよ~」
両手を合わせて頼む親友、ニノ島薫。
「だ~か~ら~。俺は、アイドルとか興味ないから!ってか、なんで俺?」
呆れ顔で断る俺、松葉瑠唯。
「だってさ、考えても見ろよ?瑠唯。俺達、イケメンがアイドルになったら大儲けだぜ!?」
「さてはまたこづかい使い果たしたんだろ?」
薫は、マンガやら、ゲームやら、こづかいのほとんどを娯楽に使い果たしている。
「そ~なんだよ・・・母さんが「あんたはちょっよ勉強しなさい!」って言って、こづかいくれねえんだよ・・・」
半泣きの薫に、俺は折れた。
そこから、オーディションを受け、二人とも一発合格。
「KuRAN☆」として、グループを結成し、明後日でちょうど一年たつ。
「お~い。薫クン。瑠唯クン。」
「あっ・・・社長!」
だらけていた薫が一瞬にしてピシッとした。
「明後日のオーディション、二人にも審査してもらうからね?」
「あ、それってKuRAN☆の女性ボーカルのオーディションっすか??」
薫がソファーから飛び起きた。
「そうだよ!君たちKuRAN☆は、女性に絶大な人気を誇っている。だが、それはあくまで女性だけ!そこで、女性ボーカルをオーディションで決め、一気に男性からも人気を取ろうという、まさに一石二鳥の作戦だ!」
そう、このグループは、男。男を好きな奴はゲイ以外いない。だが、ここに女子を入れる事で人気をさらに掴もうとしているらしい。
「年齢制限は14~18歳までで、歌のうまい子20人の中から君たち二人に決めてもらう。」
「は~い」
そう、これが、運命の出会いだった。