リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-

セヴィロスは、確認するように、ずいっと望美に詰め寄る。

そうくるとは思ってもいなかった望美は、戸惑いながら、視線を彷徨わせた。

「え…っと、それは…。」

「母上は、さきほど、そう言いましたよね?」

追い討ちをかけるように、言って来るセヴィロスに望美は困ったように、その瞳を見つめ返す。

「言ったけど…。」

「なら、僕は今のまま、母上を止め続けます。」

きっぱりと、セヴィロスが言い切った。

その瞬間、望美の頬が膨れ上がり、リズヴァーンが苦笑を浮かべる。

様子のわからない九郎と弁慶は、面白そうに、親子の会話に耳を傾けた。

「え~。今のままなの~?」

望美は不服そうな声を上げる。

「そうです。僕は諦めません。」

「大丈夫だって、言ってるんだよ?」

「何と言われようとも、僕は父上みたいに母上には甘くはありません。」

きっぱりと言い切るセヴィロスに、望美はむ~っと口を尖らせる。

そんな二人をみて、リズヴァーンが望美に向かい、声をかけた。

「諦めの悪さは、お前似だ。降参してはどうだ?」

どこか愉しそうに言うリズヴァーンに、望美はキッと目元を吊り上げる。

「い~え。降参なんてしません。私は私の思うことをします。」

「僕だって、いつか母上を止めて見せます。」

二人は宣言をしながら、互いに互いの目を見て、牽制しあう。

子供のけんかが始まりそうな雰囲気の中、九郎がリズヴァーンに声をかけた。

「先生も、苦労してらっしゃるようで、心中お察し申し上げます。」

どこか楽しそうな声を含みつつ、穏やかに言う。

その言葉に、リズヴァーンは苦笑しつつ、言葉を返した。

「昔を見ているようだとは、思わぬか?」

「昔、ですか?」

「そうだ。」

リズヴァーンが言えば、弁慶がクスクスと笑いながら口を開いた。