リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-

セヴィロスが驚いたように、目を大きく見開きリズヴァーンをまじまじと見つめる。

「そうだ。皆の想いを受け、お前が生まれ、皆の想いを受け、また、この腹の子も生まれる。」

「…なら、僕の想いも、お腹の子に伝わっているのでしょうか?」

「あぁ。口うるさい父と兄だと、伝わっているのだろう。」

リズヴァーンが愉しそうに言いながら、撫でるのを止め、その視線を望美に向ける。

望美はニッコリと笑って、セヴィロスを振り返った。

「セヴィは、周りのみんなが好きでしょう?」

「はい。」

「それはきっと、私のお腹の中で、みんなの想いを受け止めたからよ。」

「…そう、なのでしょうか…?」

「そうよ。でなきゃ、あんなにクセのあるみんなに懐くわけがないもの。」

望美がきっぱりと言い切れば、クスクスと少し離れたところから、声がした。

「それは、僕たちのことですか?望美さん。」

柔らかな声は昔のまま。

だが、昔より大分優しい空気を纏うようになった弁慶が、笑いながら三人に、声をかけてきた。

「お前は、もう少し、まともなことを言えんのか。」

その強い口調は変わらない。

でも、ずっとその瞳が優しくなった九郎が、呆れたような声を出した。

「だって、本当のコトだもん。」

望美は楽しそうに、兄とも慕う二人に言う。

言われた二人は、苦笑を浮かべながら、リズヴァーンと望美の傍に腰を下ろした。

「ね。セヴィ。そんなに心配しなくても、ちゃんとあなたの兄弟を生むよ。」

望美は優しく、セヴィロスに語り掛ける。

「母上…。」

「だから、安心して。」

ニコニコ笑いながら話す望美に、セヴィロスが小さく肯いた。

「でも、僕は心配してもいいのですよね?それは腹の子にも伝わるんですよね?」