リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-

「あのね、この世界で赤ちゃんを産むのって、大変なことなの。」

穏やかな口調で話す望美に、セヴィロスは真剣な目でその話に耳を傾ける。

「だから、絶対に必要になるのは、体力と精神力なのもわかる?」

「…精神力…ですか?」

「そう。正直に言って、私は赤ちゃんを産むのが怖いの。」

「怖いのですか?」

「うん。だって、死んじゃうのかもしれないんだよ?」

望美のその一言にセヴィロスは、はっとする。

そんな息子の様子を見ながら、望美は穏やかな笑みを浮かべ、さらに言葉を紡いだ。

「セヴィ。私は、お腹にいるあかちゃんは、何が何でも生みたいと思うの。それこそ、死んででも、ね。」

「そんなっ!」

「でも、私は絶対に死ねないの。」

望美は真っ直ぐにセヴィロスの瞳を見ながら、きっぱりと言い切る。

「…どういうことですか?」

困惑気味にセヴィロスが尋ねた。

「先生と、約束したのよ。」

「約束…って?」

「先生の目の前から、私はいなくなったりしないって。」

望美はゆっくりと隣にいるリズヴァーンを仰ぐ。

そして、うれしそうに、しあわせそうな笑みを浮かべた。

「だから、私はこの世界で、先生より長く生き抜かなきゃいけないんですよね?」

まるで少女のように、望美が言えば、リズヴァーンが優しく笑みを返す。

「そうだ。」

リズヴァーンの答えにニッコリ笑って、望美は再び、セヴィロスに視線を向けた。

「だから、私は死ねないし、死ぬのも怖い。」