リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-

溺れるということは、こういうことなのだと思う。

今まで、散々と快楽をその身から吐き出したハズなのに、些細な望美の仕草に、その姿に、己は簡単に反応を示してしまう。

何故、先ほどの行為だけでは、満たされないのか。

心を求め、体を求め、それ以上、望美に何を求めようというのか。

体が繋がれば、すべてが繋がると思ってはいないが、少しでも離れると、もう、餓えたように望美を求めたくなる。

「……収まりがつかなくなりそうだ。」

ポツリと呟いた言葉に、望美が小首を傾げるのがわかったが、私は何も言わずに、もう一度、触れるだけの口付けを落とす。

そして、不思議顔をする望美を、ゆっくりとその腕から、開放した。

「先生?」

きょとんとしている望美に、私は優しく笑み、軽く首を振る。

「独り言だ。気にせずともよい。」

ペットボトルをサイドテーブルに置き、振り返ると望美が仄かに頬を染めながらも、どこか真剣な目で私を見つめていた。

「どうした?」

「……私は、先生にされるの、嫌いじゃないです。その……気持ちいいし、大事にされるから。」

小さな声で、顔を真っ赤に染めながら、望美が必死に言葉を紡いでいた。

「………望美?」

「だから、我慢だけは、しないでください、ね?」

恥ずかしそうにそれだけ言って、ぱっと、望美は布団の中に潜り込んだ。

私は、その言葉に、一瞬、呆気に取られる。

だが、すぐに口元に手をあて、声を出さないようにしながらも、喉で笑ってしまった。

……本当に、何処までわかって言っているのか。

すぐ隣にいる男は、先ほどまで好き勝手に、望美の体を快楽に落としていたのだというのに。

喘ぐその声に反応し、獣のように、その小さな体を組み敷いていたというのに。

そして、今も、沸き立つ欲を抱えているというのに。

望美は、我慢をするなと言う。

私が己を抑えなければ、どうなるのか、本当にわかっているのだろうか?

くつくつと、笑い声を抑えながらも、微かに小さな声で、呟く。

「本当に、お前は……。」

――…愛らしい。

心の底から、そう、思う。

「……あんまり、笑わないでください!」

震える体の振動が伝わってしまったのか、望美が布団に包まりながら、声をあげた。

「――…すまない。」