「皆も子を迎えてくれているのだ。素直にそれを受け止めるが礼儀だろう」

「もう。何かあったら、どうするんですか?」

あるとは、全然思えなかったけど。

それぐらいは、みんなに大事にされていると、胸を張って言えるけど。

それでも、この扱いはなんとなく釈然としなくて。

愛する妻が、みんな好き好きに「自分の嫁」的扱いを受けているのに、笑っていられるダンナ様ってのも、どうよ?

(ってか、先生、本当に、みんなを諌めようよ……)

敦盛の笛の音に、朔が舞を舞っている姿を、見つめつつ。

「赤ちゃんは、先生との大事な赤ちゃんなのに……」

なんて、少しだけ、拗ねたように望美が呟けば。

リズヴァーンがふっと、笑みを深めた。

「ならば、私がそのすべてを守る。お前は、安心して、皆に遊ばれてきなさい」

何を、どう、安心するのかわからないけど。

ってか、大事な、大事な、身重の嫁が、あの八葉どもに遊ばれてていいんですか!?

……とも、思うけど。

愛しい人に、ただ守られるなんて、普段だったら、絶対に腹の立つことなんだけど。

でも。

今だけは、自分のことだけじゃないと、わかるから、何気にうれしくて。

ものすごく、その言葉が頼もしく思えて――…。

望美は思い立ったように、リズヴァーンの腕へと手を伸ばす。

そして。

「じゃあ、先生も一緒に、みんなに遊ばれてください」

そう言って、仲間の輪に入るように、絡ませた片腕を軽く引きながら、望美はニッコリと笑った。