「……そう、か。」
「そうです。だから、ちゃんと服を着てください。でないと、私の心臓が壊れちゃいます。」
そっぽを向きながら話す望美の背中に、私はゆっくりと体を傾け、唇を寄せる。
望美が壊れてしまいそうだと言う、心臓のあたり。
そこは、滑らかな肌が広がっている。
生きている音が生まれる場所が砕けることのないように、私はそっと、口付けを落とした。
唇が触れた瞬間、ピクッと望美の肩が揺れる。
「せ、先生……?」
ゆっくりと、恐る恐ると言う風に振り返る望美は、怪訝そうに私を見つめる。
「な、何を、するんですか?」
「――…お前は、私が何をすると思う?」
意地悪く尋ね返すと、望美はムッとしたように口を尖らせた。
「……きっと、喉が渇いただけですよね?」
明らかに違うとわかっているのだろう答えを返す望美に、私は小さく笑って、その答えにのる。
「そうだ。よくわかったな。」
「~~~!嘘つきッ!」
望美がトンと、胸に押し当てるようにペットボトルをよこす。
受け取りつつも、愛らしい言い草に、つい、笑みが浮かんだ。
「そう、人を疑うのではない。」
「それは、正直者が言うことです。」
「ほう。ならば、正直に言っても、お前は困らぬというのだな?」
ゆっくりと顔を近づけながら言えば、何をされるのかがわかったのか、「あ。」と一言零し、面白いように望美の目が泳ぐ。
それでも、拒まれないことをいいことに、私は望美の唇に口付けを落とした。
「……ふっ……ん……。」
舌を絡めるようにゆっくりと、口内を味わう。
すると、望美も口付けに答えようとして、私の舌を追ってくる。
その拙いながらも愛らしい行いに、己が熱を持ち始めたのがわかった。
「……困るのは、望美だろう?」
唇を離し、小さく笑いながら言えば、仄かに上気する肌をそのままに、望美が恥ずかしそうに顔を俯かせる。
そして、私の肩にコツンと、額を寄せた。
「困る……けど、嫌じゃない、から。」
ポツリと、花色の髪から色香漂う桜色のうなじを覗かせながら話す望美に、苦笑が零れてしまう。
「いや、すまない。困るのは望美ではなく、私のようだ。」
「え?」
ゆっくりと顔をあげる望美の背に、私は静かに片腕を回し、優しく抱きしめた。
きょとんと、少女の瞳が、私に向けられる。
同時に、触れる素肌がどこか熱く、すぐさま、己が沸き立つのを感じた。
――…どうして、そう、私を煽るような仕草をするのか。
いや、私が勝手に煽られているだけのことなのだろうが、どうしても、望美の挙動に、背が甘く粟立つ。
「そうです。だから、ちゃんと服を着てください。でないと、私の心臓が壊れちゃいます。」
そっぽを向きながら話す望美の背中に、私はゆっくりと体を傾け、唇を寄せる。
望美が壊れてしまいそうだと言う、心臓のあたり。
そこは、滑らかな肌が広がっている。
生きている音が生まれる場所が砕けることのないように、私はそっと、口付けを落とした。
唇が触れた瞬間、ピクッと望美の肩が揺れる。
「せ、先生……?」
ゆっくりと、恐る恐ると言う風に振り返る望美は、怪訝そうに私を見つめる。
「な、何を、するんですか?」
「――…お前は、私が何をすると思う?」
意地悪く尋ね返すと、望美はムッとしたように口を尖らせた。
「……きっと、喉が渇いただけですよね?」
明らかに違うとわかっているのだろう答えを返す望美に、私は小さく笑って、その答えにのる。
「そうだ。よくわかったな。」
「~~~!嘘つきッ!」
望美がトンと、胸に押し当てるようにペットボトルをよこす。
受け取りつつも、愛らしい言い草に、つい、笑みが浮かんだ。
「そう、人を疑うのではない。」
「それは、正直者が言うことです。」
「ほう。ならば、正直に言っても、お前は困らぬというのだな?」
ゆっくりと顔を近づけながら言えば、何をされるのかがわかったのか、「あ。」と一言零し、面白いように望美の目が泳ぐ。
それでも、拒まれないことをいいことに、私は望美の唇に口付けを落とした。
「……ふっ……ん……。」
舌を絡めるようにゆっくりと、口内を味わう。
すると、望美も口付けに答えようとして、私の舌を追ってくる。
その拙いながらも愛らしい行いに、己が熱を持ち始めたのがわかった。
「……困るのは、望美だろう?」
唇を離し、小さく笑いながら言えば、仄かに上気する肌をそのままに、望美が恥ずかしそうに顔を俯かせる。
そして、私の肩にコツンと、額を寄せた。
「困る……けど、嫌じゃない、から。」
ポツリと、花色の髪から色香漂う桜色のうなじを覗かせながら話す望美に、苦笑が零れてしまう。
「いや、すまない。困るのは望美ではなく、私のようだ。」
「え?」
ゆっくりと顔をあげる望美の背に、私は静かに片腕を回し、優しく抱きしめた。
きょとんと、少女の瞳が、私に向けられる。
同時に、触れる素肌がどこか熱く、すぐさま、己が沸き立つのを感じた。
――…どうして、そう、私を煽るような仕草をするのか。
いや、私が勝手に煽られているだけのことなのだろうが、どうしても、望美の挙動に、背が甘く粟立つ。

