リズ×神子2-お前がそう望むのであれば-

「そうか。それは残念だ。」

別にあえて答えて欲しいわけではない戯言なので、小さく笑いながら優しく望美を見つめた。

「――…どこか、痛むところはないか?」

真っ赤になりながら、どこか怒ったように口を尖らせている望美に、少しだけ声を落として尋ねる。

「……大丈夫、です。でも、喉が渇きました。」

「わかった。待っていなさい。」

その言葉を聞いて、私はゆっくりとベッドを降りる。

が、すぐに、背後で望美が布団の中にもぐりこむのがわかった。

何も身に纏っていない私の姿に、慌てたのだろう。

その様子に、私の顔に笑みが浮かぶが、何も言わずに、部屋を出て、望美の望むままに飲み物を取りにいった。


「――…何で、何も着てないんですか!?」

ペットボトルを持って部屋に戻ると、膝を抱えるように座る望美が、怒ったように言い出した。

膝に顔を埋め、耳まで赤くしながらも、私を見ようともしない。

「ここにはお前しかいない。誰に憚ることがある?」

「~~~!私に、多少なりとも、憚ってください~~~っ!」

「何故だ?私のすべてをお前は知っているだろう?」

飄々とした態度で言いつつ、再び、望美の隣へと体を滑り込ませ、片膝を立てその顔を窺う。

キャップを取って、望美にボトルを差し出せば、腰まで布団で隠れていることに安心したのか、その顔がゆるりと上げられた。

「それでも!……目のやり場に、困ります……。」

胸まで布団で覆いながら、小さな声で言う望美に、私の顔に笑みが浮かんだ。

「慣れれば、たいしたことはない。」

「……慣れるわけ、ないじゃないですか。」

悔しそうに呟き、ペットボトルを受け取り、口をつける望美に、私は苦笑する。

「慣れぬか?」

すると、望美はバツ悪そうに、顔を背けた。

「……先生を意識しちゃうと、普通にしてたって、未だにドキドキする私が、どうして、先生の裸に慣れるって言うんですか……。」

私に背を向けながら、言い訳のように口の中で小さく呟く望美の姿に。

その仕草に、言葉に。

――…不意に、心が揺らぐ。

素直な言葉が、温かく心に響くと、まるで子供に戻ったように、簡単に鼓動が跳ねた。