「…なによ。文句でもあるの…?」
少しだけ恥かしそうに、でも、怒った口調で望美が言えば、ビスクールが大きくため息をついた。
「…嘘だろう…?じゃあ、あの伝説は何だったんだ…。」
心の底から残念そうに呟きながら、ビスクールが自分の頭を抱える。
その様子を見ながら、望美はきょとんとして、小首を傾げた。
「伝説って…?」
「…『龍神の神子とは、清らかな心を持ち、鬼の悪しき心を救い上げる無垢なる存在』。そう言う文献が鬼の里に残っていたんだ…。」
ビスクールの言葉に、望美は呆れたように聞き返す。
「はぁ…?何、それ。」
怪訝そうに望美はビスクールを見つめた。
「お前のことだ。望美。」
リズヴァーンは優しく笑み、当然とばかりに言い放つ。
そのあまりにうれしそうな声が辺りに響き――…。
――…恥かしがることも忘れ、望美はビスクールと共に複雑そうな顔をする。
望美はビスクールを、ちらりと見て。
ビスクールは望美に、ちらりと視線を向け。
二人は同時に、ため息をついた。
「…先生。それ、違うと思いますよ?」
「俺も、それだけは同感だ。」
二人に言われても、リズヴァーンは笑みを浮かべたまま、「そうか?」と、呟いた。
「…だって、もう、随分昔の文献なんでしょう?」
どこか呆れたように望美が呟けば、リズヴァーンが楽しそうに笑む。
「そうだ。だが、神子とはそういう存在だと、言われてきた。」
「でも、先生は悪い鬼じゃないし、私だって無垢なんかじゃないですよ?」
小首を傾げながら言う望美に、リズヴァーンの手が伸びる。
そして、そのまま、望美の落ちた髪を掬い、その耳に掛けた。
「どうあろうとも、お前が白龍の神子に選ばれたことに変わりはあるまい?」
リズヴァーンのあまりに自然な行いに、望美は仄かに頬を染めるも、どこか納得がいかないように、眉を寄せた。
「そうだけど…。」
「安心しなさい。私には、お前の心が尊きものに思える。」
優しい囁きに、望美の顔はますます赤くなる。
それでも、望美は慌てて、言葉を紡ぎだそうとする。
「いっ、いや。そうじゃなくて…。」
「では、なんだ?」
不思議そうな顔をするリズヴァーンに、望美は困ったように視線を彷徨わせた。
「…所詮、伝説は伝説だ。」
ビスクールがポツリと零した言葉に、望美がはっとして、大きく肯く。
「そう!それ!それです、先生。」
「お前は、そう思うか?」
「はい!ほら、伝説って、結局、昔の白龍の神子のことでしょう?なら、私とは違いますよ。」
『うん。うん。』と納得しながら話す望美に、リズヴァーンが苦笑を零した。
「ならば、そういうことにしておこう。」
「そうしておけ。この女を見て、俺も目が覚めた。」
少しだけ恥かしそうに、でも、怒った口調で望美が言えば、ビスクールが大きくため息をついた。
「…嘘だろう…?じゃあ、あの伝説は何だったんだ…。」
心の底から残念そうに呟きながら、ビスクールが自分の頭を抱える。
その様子を見ながら、望美はきょとんとして、小首を傾げた。
「伝説って…?」
「…『龍神の神子とは、清らかな心を持ち、鬼の悪しき心を救い上げる無垢なる存在』。そう言う文献が鬼の里に残っていたんだ…。」
ビスクールの言葉に、望美は呆れたように聞き返す。
「はぁ…?何、それ。」
怪訝そうに望美はビスクールを見つめた。
「お前のことだ。望美。」
リズヴァーンは優しく笑み、当然とばかりに言い放つ。
そのあまりにうれしそうな声が辺りに響き――…。
――…恥かしがることも忘れ、望美はビスクールと共に複雑そうな顔をする。
望美はビスクールを、ちらりと見て。
ビスクールは望美に、ちらりと視線を向け。
二人は同時に、ため息をついた。
「…先生。それ、違うと思いますよ?」
「俺も、それだけは同感だ。」
二人に言われても、リズヴァーンは笑みを浮かべたまま、「そうか?」と、呟いた。
「…だって、もう、随分昔の文献なんでしょう?」
どこか呆れたように望美が呟けば、リズヴァーンが楽しそうに笑む。
「そうだ。だが、神子とはそういう存在だと、言われてきた。」
「でも、先生は悪い鬼じゃないし、私だって無垢なんかじゃないですよ?」
小首を傾げながら言う望美に、リズヴァーンの手が伸びる。
そして、そのまま、望美の落ちた髪を掬い、その耳に掛けた。
「どうあろうとも、お前が白龍の神子に選ばれたことに変わりはあるまい?」
リズヴァーンのあまりに自然な行いに、望美は仄かに頬を染めるも、どこか納得がいかないように、眉を寄せた。
「そうだけど…。」
「安心しなさい。私には、お前の心が尊きものに思える。」
優しい囁きに、望美の顔はますます赤くなる。
それでも、望美は慌てて、言葉を紡ぎだそうとする。
「いっ、いや。そうじゃなくて…。」
「では、なんだ?」
不思議そうな顔をするリズヴァーンに、望美は困ったように視線を彷徨わせた。
「…所詮、伝説は伝説だ。」
ビスクールがポツリと零した言葉に、望美がはっとして、大きく肯く。
「そう!それ!それです、先生。」
「お前は、そう思うか?」
「はい!ほら、伝説って、結局、昔の白龍の神子のことでしょう?なら、私とは違いますよ。」
『うん。うん。』と納得しながら話す望美に、リズヴァーンが苦笑を零した。
「ならば、そういうことにしておこう。」
「そうしておけ。この女を見て、俺も目が覚めた。」

