息もつかせないほどの口づけの中、私は望美の中へと、ゆっくりと己を沈めていくと、一瞬、パッと望美の目が見開かれる。

途端に、欲望に猛る己を通して、望美の快楽が直接に伝わってきた。

「――…くっ……。」

めまいがしそうなほどの、快楽が私の体を突き抜ける。

すぐにでも、果ててしまいそうだ。

だが、私はゆっくりと、望美の中へと己の欲を推し進めていく。

「あっ――…はぁ…ッ!」

望美がぎゅっと目を瞑り、苦しさを逃がすように、大きく体を仰け反らせるが、私はその腰を押さえつけて、最後まで埋め込んだ。

一度、息をついて大きな快楽を逃した後、私はそっと、その名を呼ぶ。

「――…望美……。」

己の口から零れる音が、思いのほか優しい音色なのは、その愛おしさからくるのだろうか。

それとも、甘く仕掛ける罠か。

「望美。目を開けて、私を見て欲しい……。」

誘うように囁くと、望美がゆっくりと瞼を開けて、涙に揺れる瞳を向けてくる。

「せん……せ……。」

荒い息の中、かすかな声で私を呼び、望美がふわりと、微笑んだ。

この瞬間、だ。

別の体である私たちが繋がった瞬間、笑む望美に、眩暈がおきそうなほどの幸福が、私を襲う。

この想いをなんと表していいかわからない。

無体をしているコトも、欲望のまま、愛しきものを組み敷いているのだと、十分わかっていても。

この瞬間だけは、すべてが消えうせ、望美への愛おしさだけが胸に溢れる。

ただ、ただ、望美がここにいて、微笑んでいることが、たまらなくうれしくなるのだ。

己の卑下たる欲望を埋めていても、笑っていてくれるのだと。

どれだけ欲にまみれ、獣である己が、望美を組み敷いていても、笑ってくれているのだと思うと、愛おしさで、胸が詰まる。

「――…望美。お前が、愛おしい……。」

思うままをそのまま言葉にすると、本当にうれしそうに、望美が笑う。

息も荒く、苦しいだろう。

半端な快楽の中、ただ、悪戯に熱を留めているように思われても仕方がないと思う。

でも、その熱がもう、失われずに、もっと熱くなっているのだと、体を通じてわかる。

ほんの些細なことでも、すぐに反応が返ってくるのが、体すべてで直接、伝わる。

それがうれしくて、幸福で――…どうしようもないほどの、愛おしさが湧き上がる。