「……んっ……ふっ…。」

組み敷く下で、望美が甘く小さな声をあげる。

それは声をかみ殺した中で、かすかに漏れた音。

余程恥ずかしいのか、望美は追い詰めない限り、声を出そうとはしない。

目に涙を浮かべながらも、体は容易に反応しながらも、その甘い声だけは、押し殺す。

「んん……、ぁ……はっ……。」

それでも、与えられる愛撫に、限界が近いのか、望美の声が耳に届き始める。

鼻から抜ける微かな音に、ゾクリと背筋に快楽が走った。




≪愛し合う螺旋≫




触れる肌へ、執拗に唇を這わせると、敏感な体は簡単に跳ね上がる。

「……望美。」

その名を呼べば、荒い息を吐き出したまま、ゆっくりとその瞼が開かれ、翡翠の瞳が淡く揺れるのが見えた。

「名を、呼んで欲しい。」

一言、言えば、望美は私の言うままに、口を微かに開く。

その瞬間。

望美の一番感じる場所に、ゆっくりと指を差し入れた。

「――…あっ!…んぁ…っぁ……!」

開いた口から、一斉に甘い喘ぎが零れ始め、一度、あげてしまった声は留まることを知らない。

「せっ、……ぁ…んせぇ……あぁ……っ!」

それでも、名を呼ぼうとしながら、力の入らないのだろう腕を、首へ絡めてくる。

その愛おしい仕草に煽られて、甘い声のいずる先に、私は深く口付けた。

何度、望美の体を抱いただろう。

初めて望美の体に触れてからというもの、ついこの間まで自戒していたのが嘘のように、私は簡単に望美に溺れた。

まるで、餓えた獣のように、私は何度も何度も、望美を抱く。

だが、抱けば抱くほど、何故か、己の体がどんどんと餓えていく気がして、余計に私は望美を求めた。

望美は、そんな私をいつも断ることなく、受け止める。

「ふっ……あっ――…ぁ…っぁん……。」

花色の髪を大きく振り、かすかに体を震わせながら、快楽に身悶える望美に、私は小さく囁く。

「――…望美。お前、だけなのだ……。」

そう、望美だけだ。

こんなにも愛おしくて、これほどまでに、私を失わせる存在は。

我を忘れてしまうほど、望美が愛おしくて、愛らしくて、私を獣に変えていく。