僕の前にコーヒーを置き…

向かいに腰を降ろした。


「今は…新聞配達しながら
 昼間はパート。

 空いた時間はノラに会い に行くの!」


オバサンは少しハニカミながら笑った。


「それって大変じゃないの?」

僕はコーヒーをペロペロ舐めた…


「あ〜!ごめん。

    猫舌だった?」


「あ…いや…大丈夫」


僕はベロを出して笑う…



  「大変だよ…」


オバサンの表情が一瞬曇る…


「なーんてね!ぜんぜん大変じゃないよ。
オバサン一人だから暇で仕方ないんだ…だから働いてるだけ。
良かったらいつでも遊びにきてね!」


   「うん…」


僕は空返事をした…


本棚の脇に…数えきれない程の薬の山…


それが…ガンの侵攻具合を教えてくれた…