くわっ、と怒鳴るガイを綺麗に流す。
「ほら、早くしろ」
「お前らなぁ……」
まだ朝だというのに、ガイの回りには負のオーラが漂っていた。
そのあとも何かとぎゃあぎゃあ喚くガイをあしらい、二人は教壇の横に立つ。
「あー、こいつら二人は編入生だ。問題おこすなよー」
それでいいのか、お前一応教師だろう。
自己紹介、と目線で伝えるガイに、めんどくせーと思いながらロイもユトアに目線で訴える。
ユトアは小さく溜息をついてから、にっこりと微笑んで言った。
「はじめまして。ユトア・ウォードといいます。
ギルドランクはAです。よろしくお願いします」
ざわっ、と教室が沸く。そしてガイは頭を抱えた。
ギルドランクA。それは学生からしたらあこがれの的だ。
この大陸に共通して、ギルドは『ギルド支部』と『ギルド総本部』と二種類ある。
ギルド支部は、ギルドマスターの資格を持つ者が、総本部にギルド開設の登録をして造る物であり、普通はこちらを指す。
それに対してギルド総本部とは、光姫がマスターを務める限られた者しか利用できないギルドである。