しばらくすると、両親は何も言わずに帰っていった。
そのことにほっとした。

ベッドからゆっくりと床下に足をのばす。

外にはあまり出たことがないが、たまにこうやって

病室を抜け出して屋上に向かう。

重い扉を開くと、柔らかな日差しが辺りを優しく包

んでいた。

青く染まる天井には雲1つない。

心はどんどん暗い雲に覆われていくのに、構わずあ

の空は晴れているのがなんだか腹立たしく思った。

“私はこんなに苦しいのに”って。

そんな時だった。

空から何かが落ちてきた。

少し大きなビー玉くらいのガラス玉が床に転がった。
「きれい…。」

思わず手を触れてしまった間に、さっきまで何の変

てつもなかったかたビー玉が急に辺りを眩しい光で

覆いつくした。

私はガラス玉に吸い込まれて、意識を手放した。