苦笑いしながら女子の対応をする一月をフォローするために近くにいた男子達が話に乱入する。
女子はブーイングしたが、一月はホッとした顔をした。
そんな一月を見て、紗耶香は首を傾げた。
「ねぇ、榑林」
「なぁに?」
「櫻吹って顔が綺麗って以外に何か良いとこがあるの?」
「良いこと?」
龍市は目を丸くした。
「良いことや良いとこがあるないで俺は一月の側にいる訳じゃないからよくわかんない」
爽やかに微笑み、紗耶香に顔を向ける。
それを聞いた紗耶香はギリッと歯を噛み締めた。
「まぁ、強いて言えば・・・頭良いし、運動神経良いかな」
「・・・そう」
ガタンッといきなり立ち上がった紗耶香のことを龍市が不思議そうに見上げる。
紗耶香はスタスタと歩き、一月の前に立ちはだかった。
一月は首を傾げた。
紗耶香のことを皆も不思議そうに見つめる。
「櫻吹一月」
「はい?」
「私と勝負しなさいッ!!」
しばしの沈黙。
『はぁあああああッ!?』
これは一月からの言葉ではない。
むしろ楽しそうにニコニコと微笑んでいる。
声をあげたのはクラスにいたほとんどの生徒だった。


