恐る恐る振り向く。
彼は素敵な笑顔を紗耶香に向けていた。
紗耶香もつられて微笑む。
だが、引きつる。
「どんな能力?」
・・・・・・・・・・・・・・。
「へ?」
「超能力者。なんでしょ?」
・・・いきなりそう言われても・・・。
紗耶香は一月に助けを求めた。
元はと言えば、コイツが変なことを言い出すからだ。
一月をじぃっと見ていると、一月がニッコリと微笑んできた。
・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
私はアンタに微笑んでほしい訳ではないのだが・・・。
すると、後ろから龍市のため息が聞こえてきた。
「一月、コイツって本当に超能力者なの?」
「うん。覚醒はしてないけどね」
「なら、ここに連れて来なくても・・・」
再びため息。
紗耶香は二人の会話を聞きながら訓練場を見回した。
紗耶香、一月、龍市以外誰もいない。
「二年の超能力者は俺達とあと一人いるんだ」
「別のクラスだけどな」
そう言うと龍市は訓練場から出て行ってしまった。
龍市の出て行ったドアを見つめていると、一月が紗耶香の隣に立った。
「龍市が何処に行ったか、気になるの?」
紗耶香はムッとしたが、気になったのは事実なので頷いた。
それを見た一月は優しく微笑んだ。
「もう一人を呼びに行ったんだ」
「授業中じゃないの?」
紗耶香の言葉に一月は素直に、
「うん。授業中」
と、答えた。


