学校内で一番嫌いな場所、職員室の目の前で立ち止まる。
中を覗くと、制服の着こなしに一番うるさい先生がいるのが確認できたのでスカートをずらし膝丈まで下げる。

ふぅ…

ため息に近い深呼吸をひとつしてから

『失礼しまーす。』

と、中に足を踏入れる。

私の先生は50手前くらいのおばちゃん先生。
別に嫌いじゃないけど口うるさい。

『先生ー。お呼びでしょうかー。』

『はいはい、お呼びですよー。あ、柿本先生、椅子お借りしても良いですか?』

『どうぞー。』

『ほら、じゃあ柿本先生の椅子座りなさい。』

『カッキーありがとー♪』

柿本先生は英語の先生で優しくてちっこいおっちゃん先生。
みんなからカッキーと呼ばれ親しみやすい。

『神埼ー。しっかり河本先生しぼられなさいー♪』

ケラケラ笑いながらカッキーが職員室を後にする。
カッキーが出ていったドアを見つめていると
クルッと椅子を回され、担任である河本先生と向き合う形にされる。

『神埼ー。今日は何時に来ましたか?』

呆れた声でジーっと見つめて問いかけられた質問に

『昼休みです』

ニコッと笑いながら答えてみる。

『昼休みに来たのなら、5限から8限は受けたんだよね?』

『受けてません!』

『はい、知ってます。』

じゃあ聞くなよ
とか思いながらカッキーの机にあったペンを手に持ち遊び始める。

『あんた、本当に単位ヤバイんよ?出席日数もそろそろ後がないよー?
進路希望も出してないでしょ?』

水が溢れだすかの様に先生のお説教が始まる。

『はい。』と『すいませーん。』

を棒読みで言いながらやり過ごす。

『明日はちゃんと授業を受けること!』
その言葉を最後に今日のお説教は終了した。