なんとか屯所にたどり着いた私は藤堂さんに連れられるまま、副長室に向かった。

平「土方さん。今帰りました」

土「おう。入れ」

藤堂さんはゆっくり障子戸を開けると私の腕を引いたまま中に入る。

土方さんはどうやら何かを書いているようだ。

涙でゆがんだ視界でははっきり認識できないけれど、背中が見える気がする。

私は俯いたまま、その場に座りこんだ。

平「土方さん・・・」

土「どうした平助。なんか声が暗いな。・・・何があった?」

こっちを向いた土方さんは何かを察したかのように厳しい口調に変わった。

平「巡察中、不逞浪士と遭遇しました」

土「それで、目の前で人が斬られるのを見てこれか?」

平「いいえ・・・」

藤堂さんは私を気遣うように手を握ってくれた。