七分後、救急車と警察車両が到着した。
車は加奈を乗せて、四丁目にある余山市立病院に向かう。
爽と遥は警察署に、そして私と真朱は一緒に病院へ行く事になった。

真朱が強く加奈の手を握るのを、私はただただ眺めていた。
何も聞こえなかった。
サイレンも、救急隊の声も、加奈の呼吸も、鼓動も……

加奈は病院に到着して直ちに集中治療室へ運ばれた。
真朱と二人で廊下の長椅子に座って、十分程して加奈の両親が駆け付けた。
二人とも顔が真っ青だ。

「朱乃ちゃん、真朱君、久しぶりね。こんな形で会うなんて……」
おばさんそう言った途端に泣き崩れた。
おじさんはおばさんを座らせると、肩を抱いて一緒に泣いた。

私は堪らなくなって真朱に抱きつき、また涙を流す。真朱は泣かなかった。
けれど私を強く抱いたその両腕は、確かに震えていた。

-MAI 7 (Lun)-
五月七日、零時二十三分。
医師の懸命な処置も虚しく、西山加奈は十六歳の若さで息を引き取った。

死因は失血死。
輸血用のAB-の血液が足りなかったのも原因の一つだった。
知らせを聞いた爽と遥は、警察署で無念の涙を流した。