夕方旅館に戻ると、女将さんが早めの夕食を用意してくれた。
「早めに食べたらゆっくりお風呂に入れるでしょう？」
「ありがとうございます！」

　とても豪華な料理に大満足した私達は、
　女将お勧めの大浴場に入る事にした。
　美影は羽が濡れると可哀そうだから、部屋に置いて来た。

「広い…！それに私達だけ…」
「貸切じゃん！サウナもあるよ！」
「こっちは岩盤浴？うちこれ一回試したかったんだよね！」

　私達は三人並んで座ると、
　背中の洗い合いをしたり、お湯をかけ合ったりした。

「にしても、まさか蝶を旅行に連れて来るとは思わなかった。」
「仲間外れは、可哀そうだから…」
「そういう理由？そう言えば、蝶に何食べさせてるの？」
「時々ふらっと、外に出るの…多分その時に…」

―――
　俺は湯気で曇った鏡を見た。
　茶色の瞳がぼんやりと見返している。
　コンタクトをしたまま寝る事になるな。
「本当は目に悪いんだけどな……」

「ん？何て？」
「いや、何も？」
「先輩、お背中お流ししやすよ！」
「じゃあ、お願いしようかな？」

　部屋に入ると、女子は既に戻っていて、占いの本に夢中になっていた。
「……座と相性がいいんだって。あ、おかえり！」
「うちらと一緒に占いやる？加奈が本持って来たんだ。」
「お、やるやる！俺は？俺は？」
「あはは、じゃあ俺も混ざろうかな。」
―――