日曜日のセンターはすごく混んでいた。
 こんな人混みに魔犬が来るとは思えない。今探すべきは、あの扉だ。
 一行は扉を探して、人混みの中を歩き回った。
 暑さに爽と加奈の愚痴が増える。

「横1.5m縦3m位の錆びた古い扉ね。こんな所にある訳ないよね。」
「でもまぁ水野は見たってんだから、どっかにあるんだろ。」

 ふと数歩後ろに下がった。
 二人と距離を取ると、こっそり美影に話しかける。
「美影…扉の場所、分かる…?」
‐手前の交差点を右に曲がり、そのまま住宅地に入った所にあります。
 
 気づくと二人は立ち止まって、遅れ気味の私を待っていた。
「ん?朱乃何か言った?」
「前の交差点、右に曲がろう…?」
「お、出た!女の勘ってヤツか!」

 ナビ通りに交差点を右に曲がって、
 四丁目寄りの閑静な住宅地に入った。
 飼犬の散歩をする人、道で遊ぶ子供達、
 晴れの週末らしい風景が、そこにはあった。
「本当にこの辺なの?」
「何かすげぇ平和だけど。」
「あ、あった…」

 それは小さな公園の奥にあった。
 錆びた古い扉……間違いない、これだ。
「ん、どこ?分からないけど……」
「俺にも見えねぇよ?」
「あの隅の、ブランコの奥に…」

 私は指で差したけど、
 二人は何が何だか分からないという様に首を傾げた。
 そうか……二人には見えないんだ。