きみを好きになる瞬間


「…やっぱり謝ってくれないか。まあ数年ぶりに見た弥生の泣き顔で我慢しとこうかな」

「…どうしてここまでするの」


私を抱き起こして捲れた服を直そうとする結生の手を払って、自分で直す。




「昔、弥生と約束したんだよ」

「…何を」

「さあ」




約束……
小さい子って、深い意味も考えずに簡単に約束なんてものをしてしまう。

『大きくなったら結婚しよう』とか。



でも私、結生と何を約束したか覚えてない。
結生も、教える気はないらしいし。