が亡くなってねぇ。ちょうど、愛悠良が生まれたころだった。それまでは、ばぁばとじぃじで3階に住んでたんだよ。・・・今は、愛海さん達と1階の和室に住んでるんだけどね。」

「へぇ・・・。」

「心配なんだって。おかしいよなぁ?こんなに元気なのにねぇ。」

「今は、ここ・・・どうしてるんですか?」

なんでだろう。聞きたいっていう理由はないのに・・・。気になった。

「掃除はしてるけど、使ってないよ。ほとんど。」

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準備が終わって、俺と愛悠良は、母さんに呼ばれた。

「ねぇ。二人に話があるの。」

俺と愛悠良は、耳を傾けた。

「羽衣ちゃんを狭山家に呼びたいの。」

俺は、疑問を母さんに伝えた。

「羽衣には、親戚がいんじゃん。いいのか?引き離して。」

「いないの。いないのよ。羽衣ちゃんには、もう一人も。」

今度は、愛悠良がいった。

「一人も・・・ってどういうこと?」

「おばあさんもおじいさんも、お父さんも。いとこも、おじさんやおばさんも。初めからいない人や、もう亡くなった人ばかり。」

神様は、いじわるだ。

羽衣だけをこんな目に合わせる。羽衣は、何もしてないのに。

「ねぇ?いいでしょ?愛悠良と悠介のお姉ちゃんが出来るようなものよ。」

「あゆは、・・・いいと思うよ。あゆのお姉ちゃんになってくれるなら。」

母さんは、俺を見つめ、答えを期待した。
俺の心中は決まっていた。

「それで、羽衣が幸せなら、俺も賛成。」

「・・・さすが。我が子ね。」

羽衣が、降りてきた。

「行くよ。母さん・・・。」

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「羽衣ちゃん。出発していい?」

「うん。おねがいします。」
愛悠良は、うきうきしてたけど、なぜか悠介は、難しい顔をしていた。

愛海さんが、口を開いた。
「ねぇ、羽衣ちゃん?あまり聞きたくないんだけど・・・その・・・これからは、どうするの?ほら、学校とかね。いろいろ・・・あるから・・・。」

「どう・・・。う~・・・ん。市の施設に行く・・・しかない・・・ですよね?」

「やだ!」

愛悠良が、泣き出した。

「羽衣ちゃんに、会えなくなっちゃうなんて・・・そんなの絶対やだもん!!」

アタシの隣の悠介が、助手席の愛悠良をたたいた。

「一番嫌なのは、羽衣なんだよ・・・。お前が泣くな。バカ。」

嫌?・・・いや、怖い。本当に一人になったと思うと、暗闇に取り残されてるような気持ちになる。

悠介は、アタシの頭をポンッと撫でるようにたたいた。

「着いたよ。久しぶりねぇ。」

「5歳んときからきてねぇからなぁ。」


上に上がった。エレベーターで、愛海さんは、悠介とアタシが小さいときの話をしてくれた。

真希と悠介とアタシとママと愛海さんで遊園地に行ったこと。小学校にあがって、パパと真希が、いなくなったこと。

パパと喧嘩して、走って狭山家に行ったこと。

ママがいたから・・・。

家に着いて、愛海さんが帰った。

家は、いつもより人が多くて、にぎやかだった。