「あは・・・笑えない冗談やめてくださいよ~。」
「そうだよ、母さん。」
「羽衣ちゃん、ビックリしてるじゃん。」

そうだよ。ママが、アタシを残して死ぬわけがないじゃん。

それでも、愛海さんは、

「羽衣ちゃん、・・・とりあえず、病院にいきましょう。ね?」

と言って、アタシを連れ出した。

愛悠良と、悠介も一緒だ。

うそだよね?ママ。死んだりしてないよね?だって、ママ死んだら、アタシには、家族がいないんだもん。
どうやって、生きていくの?


そんなパニックを起こしてるうちに、病院についた。

愛悠良は、愛海さんにつかまって。

アタシの横には、ずっと悠介がいてくれた。

霊安室について、布をかぶったママをみて全身の力が抜けた。

「ママ?おーい。・・・朝だよぉー・・・。寝てないで・・・おきてー・・・。この仕事終わったら、旅行に行こうって約束したじゃん。」

ママは、ピクリともしなかった。

死んじゃった・・・の?うそでしょ。

パパとママは、2年前に離婚した。アタシと妹の真希は、意見が合わず、ばらばらになった。

でも、そんな二人も去年亡くなった。


もう、ホントに一人になちゃった・・・ってこと?


「ママ・・・。」

最後まで、『ママ』って・・・。

せめて、呼ぶことだけでも・・・。

呼んだら、帰ってくるかも。そう思ってただひたすら呼んだ。

そのうち、愛悠良が泣いて、愛海さんが泣いて、悠介も泣いた。

ママは、幸せ者だね。

ママのために、こんなに涙してくれてるよ。












「さぁ、今日は、うちに泊まりなさい。とりあえず・・・。」
「あゆの部屋においでよ・・・。」
「ううん。うちに帰ります。むーがいるので・・・。」

「むーって誰?妹?」
悠介が聞いてきた。
「ううん。猫。妹は、もう死んだ。」
きっと、『疫病神』。そう思っただろう。

母親も父親も兄弟すらも、もういない。

こんな子、ホントに極まれだろう。

なんでアタシが・・・。

なんか・・・つくづく不幸だなぁ。

「じゃあ、俺が羽衣んちにいくわ。」

「なにいってんの?悠介。」
「そうよ。いきなりお邪魔そるなんて・・・。」

今、アタシは、何もかも何も分からずにいた。
「いいよ。悠介。おいでよ。愛悠良も。」

愛海さんの目は、点になっていた。

「・・・いいの?羽衣ちゃん。」

「うん。例え猫がいるとは言え、寂しいし。今は、にぎやかくしないと、心が折れそうなんで・・・。」

悠介は、明るかった。

いいや、そう見せていただけかも知れないけど・・・。

「よぉし。すぐいくよ!いくよ。母さん。」
「まぁ。調子いいんだから。」

まず、狭山家に行った。愛悠良と悠介が準備してる間、狭山家の3階に上った。
愛海さんのお母さんの愛子さんが言った。

「悠介が3歳のとき、おじいちゃん