恋をしないまま、中学の3分の1を過ごした。きっと、3分の2も、そして、3もそうなると、思っていた。けど、中2の春。季節と共に、アタシにも、春が訪れた・・・。





「新入生、入場。会場の皆様は、拍手でお迎えください。」
今日は、うちらの中学の入学式。
「羽衣ぃ。イケメン、いるかな?」
この子、アタシの親友、虹夏。
「さぁ、どうだろうねぇ。」
今年は、うちのかわいがっていた小学生のアニキや、うちと同じ年に兄弟がいる子など・・・。初めての後輩でわくわくしている。

まぁ、虹夏は、イケメン探し中。「あぁ!あの子いい!!かわいい!」と虹夏は言った。視線の先には・・・

「げっ。悠介」
「悠介って言うの?かわいい!!」
「やめなよ。顔だけだよ。性格超悪いっ!」
「何?羽衣が?」
「悠介?!」
入場中の悠介が真隣で囁いた。
「ねっ!?今の聞いたでしょ!?やめなよ。呪われるぞ。」
「いいよぉ。あの子ならぁ。」
「はぁ!?」
だめだ。もう、妄想してる・・・。
「あぁ。1組だよ。あの子。」
虹夏の言う事、半分無視してる。うるせぇなぁ。
「田中君か・・・。あぁ。あの子もかわいい」
再び見てみると、井内太陽。
「太陽は、かわいいね。」
こいつも、悠介も小学校のバスケチームでいっしょだった。

式が終わった。携帯が鳴った。お母さん?
「もしもし?どうしたの?」
「羽衣、今日悠介の家に帰ってって。」
目が点だった。悠介の家(狭山家)とうちが、仲がいいことは、知ってる。
「なんで?悠介ん家、おばあちゃんいるでしょ?」
「うちに、だれもいないし。ね?いいでしょ?羽衣。」
「いいよ。今日だけでしょ?」
「ううん。これから毎日。」
冗談でしょ。愛悠良と会えるのは、いいけど・・・。
「いいじゃない。愛悠良ちゃんにあえるんだし。」
「あぁ!!もう分かったよ!」
ブチっと電話を切った。
なんでやねん・・・。
靴箱にいくと、悠介が待っていた。
「羽衣先輩。帰りますよ。」
コイツぅ~馬鹿にして居やがる・・・。
小学校のバスケメンバーの男子が悠介を取り囲んだ。
「おう。悠介ぇ!!」
「久しぶりだなぁ!」
「背ぇのびたなぁ~!」
「しぇんぱぁい~。」
ケッ。つねられてやんの。帰ろうっと。
「うおっ!!ちょい待てよ!!一緒に帰るんだろ!!」
「えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
「そんなんじゃないからぁーーーー!!」
猛ダッシュで逃げた。
ばかばかばか!バカ悠介ぇーーーー!!!