爽の手が私の胸元に伸び、 慣れた手つきでネクタイをスッっとほどき、 シャツのボタンに手をかけた。 「ちょっ!爽!?」 「どうかなさいましたか?爽世様。」 爽は意地悪な笑みを浮かべている。 「だって、あなた!」 「体温を測りやすいようにと思いまして。」 「いい!これぐらい自分でできるわ!」 私は爽から体温計を奪い取った。 「申し訳ありません。」 そう言って微笑んだ。 私が怒っているというのに何故爽は、笑っているのか。 それに腹が立った。